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面積の変動が語る日本

 国土地理院の発表によれば、7月時点で石川県の面積が福井県を抜き、全国34位となった。能登半島地震による海岸隆起がその理由で、増加分は輪島市、珠洲市、志賀町に及ぶ。2024年正月の地震の爪痕を、数字の変化を通じて改めて思い起こさせる出来事であった。

 国内の都道府県の面積順位が変動したのは1988年以来で、その際は大阪府が香川県を抜いて最下位を脱した。背景には埋立地の拡大があり、人為的な増加は想定内といえる。だが今回のように自然災害によって面積が変わるのは、住民にとって深刻な被害の結果である。南海トラフ地震をはじめ自然災害への備えの必要性を強く意識させられた。

 今回増加した地域は旧国名でいえば能登の国である。書籍や地図帳に記載される旧国名は「延喜式」(えんぎしき)によるものが多いが、その地図を眺めると名称の由来に歴史や地理の痕跡が見え、興味深い。「淡路国(兵庫)」は畿内から阿波(徳島)への通路を意味する命名と思われ、「越前(福井)、越中(富山)、越後(新潟)」にまたがる越の国は、京都から山を越えて行く地を表し、その響きにはどこかロマンを感じる。

 関東では、上野(群馬)、下野(栃木)の野州に坂東武者が疾駆した関東平野の姿を想像する。九州では、肥前(佐賀)、肥後(熊本)の「肥の国」は実は「火の国」に通じ、火山・阿蘇山に由来するのではないか。ちなみに肥前と肥後の間には筑後が存在し、「肥の国」は一体性に乏しいようにも見える。だが実は有明海の海上交通が両者を統合していたのではないかと想像するだけでも楽しい。

 同様のことは千葉の上総と下総にも当てはまる。国名の前後、上下、遠近は都からの視点で決まっているように思えるが、千葉は上と下が逆に映る。ただし、それは陸上交通の発想であり、当時は相模(神奈川)から東京湾を経て上総に渡る方が容易だったに違いない。また、伊勢と志摩はいずれも三重の領域であるが、面積は圧倒的に伊勢が大きく志摩は小さい。志摩はかつて熊野水軍の拠点であり、海上貿易や運輸を通じて繁栄したのではないか。

 日本は四方を海に囲まれた島国であり、防災や産業、交通のすべてにおいて海との関わりを無視できない。常に海を念頭に置かねばならないと痛感する。

                        <レーダーより>

 

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