丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2019年2月号 -第341号-

ロシアは領土を譲らない

 

安倍首相は衆議院予算委員会で、日露交渉について「平和条約を締結するということは国境を画定することだ」と述べた。領土問題の棚上げを否定したものだが、交渉そのものの難航が続いている。これについて、中国分析の遠藤誉女史が鋭く語った。

 「現行の交渉で、領土問題の解決は絶対にあり得ない。2島返還も無理だろう。ロシアは経済的に困っていないし、中国とタイアップしている。いまは最悪のタイミングだ」

 その意味は。 「1991年12月にソ連が崩壊し、経済的にどん底にあったロシアのエリツィン大統領は、経済援助を受けようと日本に急接近した。4島を日本に返還しても構わない勢いだった。ところが、日本はその要求を無視し、選挙制度改革に明け暮れた。日本は疲弊しきっていたロシアを侮っていた」 

 「エリツィン政権の懇願を無視しただけでなく、日本は中国にエールを送り始めた。

天安門事件以降、西側諸国は経済封鎖をしていたが、それを真っ先に破ったのは日本だった。さらに、92年10月には天皇陛下の訪中まで実現させた。これが契機で、西側諸国が争って対中投資に雪崩を打った。経済大国だった日本は凋落し、中国は世界2位の経済大国になった」

 その後ロシアは。 「日本経済が力を失い、ロシア経済もそれなりの回復を遂げて、ロシア国民の領土に対するナショナリズムが最高潮に達している。プーチン大統領は経済援助が欲しいので、領土問題を解決しそうな素振りしている。プーチン氏の背後に、中国の習近平国家主席がいる」

 どういうことか。 「昨年6月、習氏は人民大会堂の黄金の間で、プーチン氏に『第1回友諠勲章』を授与した。11月には、プーチン氏は中国の企業代表団を北方4島に招いて、大きな商談を進めた。これは安倍首相への当てつけで、『日本が経済協力しないなら中国とやるぞ』と言う姿勢だ。習氏は一帯一路を北極圏まで延ばそうとして、その拠点となる北海道の土地を買いまくっている」  

 日本に代わって、中国が北方4島の開発をしかねないのだ。遠藤氏が言った。

 「プーチン氏と習氏は蜜月を演じており、ソ連時代のような中ソ対立の要素が消えている。いま安倍首相は日露交渉に前のめりだが、最悪のタイミングでの努力だ。経済協力をしても決して領土は動かない。やらない方がいい。中露の対立とか、ロシアがもっと困る状況を待つしかない」     

政治評論家 鈴木棟一 富山新聞風雲永田町より