丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2020年2月号 -第353号-

マスク・消毒液の備蓄 想定外を想定して

 現在、マスク不足、除菌液不足が叫ばれている。これは新たな想定外の事態である。これまでは想定外の出来事と言えば、金融危機ではリーマンショック、自然災害では東日本大震災や、今までに見られなかったような大型台風であった。我々はこれらの経験に学び、想定外を想定外として済まさず、再び起こりかねないと想定して、金融危機に対しては家庭では貯金を企業では内部留保を確保し、また地震対策では耐震補強、食料、水、防災グッズ等を用意するようになった。しかしながら、今回の新型肺炎のような事態は想定していなかった。日本国民は過去のSARSやMARSが日本国内で流行しなかったため、対岸の火事のように見ていた感があったと反省せざるを得ない。マスク、除菌液ともに中国での製造に大方を頼っていたため、国内で手に入りにくいわけだが、これからはこうした事態に対しても備えあれば憂いなしで、また、家庭内においても企業においても、自治体・国家レベルでも備蓄量を増やすことが肝要である。

 企業においては、特に東日本大震災後に、製造能力面でのBCP、サプライチェーンの不断が課題として、啓豪されてきたが、実際に機械や物流を動かすことができるのは社員の健康あってこそである。経営者としては、マスク、除菌液等の供給が正常化したのちには、ぜひ社内でも備蓄に努められたい。また、個々の社員に対しては朝礼・会議・その他様々な機会に企業からも啓豪をされるのがよろしかろう。社員単位、すなわち家庭内においての備えは自己責任といえば自己責任であるかも知れないが、しかし企業にとっては大切な人材である。

 国・自治体では現在マスクをはじめ中国への緊急支援物資の提供が相次いでいる。人道上、当然の支援であるとともに、まん延の世界的拡大を防ぐための政策でもある。早急に支援の輪が広がったことは大変に評価すべきことである。ぜひ現地の医療機関で役立てていただき人々の命を救っていただきたい。ひとつだけ気になるのは、各自治体の普段の備蓄量である。我が国の民間レベルで万が一マスクや除菌液が費えた場合、自治体レベルで配給を行ったとして、わずか一日~数日ですべて消費してしまう量であるためである。

 もっとも、医療機関に重点的に配給されるだろうが、国内で流行した場合果たして大丈夫だろうかと心配してしまう。これについても生産量が追いつき次第、これまで以上に備蓄がなされることを願いたい。現在、我々は店の売り切れた棚の前で、想定外についてもっと視野を広げるべきことの大切さを学んでいるところだ。皆で一つの教訓として今後に生かしたい。

金属産業新聞「時評」より