丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2023年5月号 -第392号-

大谷翔平選手の活躍の源

大谷選手は明治人の再来

 侍ジャパンが「2023WORLD BASEBALLCLASSIC TM」において、7戦全勝で、3回目の優勝を果たしました。その優勝に大きな貢献をしたのが、大谷選手です。日本特有の侍精神を思い浮かべる歴史的存在になりました。

 米国のスーパースター達からも、最大級の賛辞を受けています。「ベーブ・ルース以来で最も成功した二刀流の選手」、「控えめに言っても凄い才能の持ち主。とにかく凄い」その中で、次の賛辞が大活躍の源を言い当てているようです。「オオタニは規格外の選手。そしてなによりも性格が素晴らしい」

 この規格外の素晴らしい性格が、大活躍の源のようです。それは、野球界だけでなく企業の経営の面でも、未来において大活躍しようとする人達にも応用できそうです。

 

大谷選手の大活躍の源は高校時代の恩師の言葉

 大谷選手は、高校時代の恩師の言葉を大切にしているようです。その言葉のいくつかを紹介します。「先入観は可能を不可能にする」、「非常識な発想を持つ」、「誰もやっていないことをやる」、「自分自身で道を切り開いていく」これらの言葉は、大谷選手の大活躍の源そのものでしょう。これらの言葉通りの奇跡的な大活躍だと納得できます。これらの言葉には、その源となる精神があります。それは、自助自律です。

 歴史上、奇跡的ともいうべき日本の明治時代の大躍進の原点も、実はこの自助自律の発想でした。自助自律の精神だと、良いものはちゅうちょなく取り入れます。そのため、非常識でも受け入れ、「やってやれないことはない」と先入観をもたず、「誰もやっていないことでもやる」ことになります。そのため、「規格外の選手」と称賛されることになります。大谷選手の大活躍の源泉は、「青年よ、大志を抱け」というクラーク博士のような恩師に出会い、その恩師の言葉を信じたことにある気がします。そのせいか、大谷選手には明治時代の日本人を思わせるものがあります。

 野球というスポーツを通して、社会で大活躍できる侍のような人材の育成が行われた気がします。それは、上昇気流を生み出す教育の力を実感させます。

 

明治の大躍進の源は『西国立志編』

 明治時代に、日本は東洋の奇跡と言われる大躍進をしました。その源が、サムエル・スマイルズ著、中村正直訳の『西国立志編』です。

 日本と同様に、小さな島国であるイギリスが世界を制覇し、強国になった精神的支柱は、「自助の精神」であることを教える本でした。自助の精神は、日本人の大和魂に通じる精神でもあります。このような本が、明治時代に100万部も売れたことで、日本人の成長意欲の高さが分かります。

 その影響を受けた明治人には、大倉喜八郎や豊田佐吉など、経済界で大活躍する経営者もいたようです。大倉喜八郎は、大成建設やホテルオークラ、サッポロビールなどの設立に関与しています。『西国立志編』に強く影響を受けた豊田佐吉を祖とするトヨタグループは、グループの発祥地にトヨタ産業技術記念館を建て、『西国立志編』を保管しているようです。

 大谷選手とトヨタグループには何の関係もないように見えますが、その奇跡的な大躍進の源は、「自助自律」という明治の大躍進の精神だと思います。                          

弁護士 鳥飼重和