丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2024年5月号 -第403号-

鳥山明天才伝説

 『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』などの名作を生み出した漫画家の鳥山明さんが3月1日急性硬膜下血腫により亡くなった。突然の訃報に、世界中から悲しみの声が相次いだ。鳥山明さんは愛知県清須市出身で、愛知県立起工業高校卒。少年マガジンの新人作品募集の記事を見て初めて漫画を描いたものの、締切に間に合わず、代わりに少年ジャンプの新人賞に応募したところ、編集者の目に留まり、23歳にしてアシスタント経験なしでいきなり漫画家デビューした。『Dr.スランプ』は異例の大ヒットとなり、累計発行部数3000万部、アニメ化で最高視聴率36.9%(アニメ視聴率歴代3位)を記録。1981~1982年連続で長者番付1位となった。

 ところが、ネタ切れ感が出てきたと連載終了を希望。編集者に「Dr.スランプを超える作品を生み出し3か月後に新連載を始めること」という無理難題を突き付けられ、大好きなジャッキー・チェンの映画から着想を得て『ドラゴンボール』を創作した。連載時の週刊少年ジャンプは歴代最高653万部(漫画雑誌の最高発行部数でギネス認定)、単行本は累計2憶6000万部を売り上げた。漫画・アニメ・ゲーム作品などを含めた総売上は3.5兆円(230億ドル)に達し、今や、世界中で知らない人がいない日本のソフトパワーの代表的ビッグコンテンツとして世界のサブカルチャー界を席巻している。

 鳥山明という漫画家は天才である。自動車や飛行機などメカニックのリアル感を残しつつも柔らかく丸っこいデフォルメ表現が絶妙で、女性キャラも魅力的だ。シンプルな背景に構図やデッサン、ダイナミックな動きのある絵を描き、一コマ一コマが単独のイラストとしても成立する高い構成力。工業高校のデザイン科で基礎を学んだだけのことはある。ただ、本人も公言するほどの「面倒くさがり」で、漫画製作の準備・練習が嫌いだった。それを支えたのが、意に沿わない原稿を容赦なくボツにする初代担当鬼編集者の鳥嶋和彦氏だ。鳥嶋氏は原稿がキレイなのを見て才能に気付いた。迷いなく一発で描けるから原稿が汚れない。それゆえ仕事の手が早く締切を落とすことがなかった。

 当時すでに友情・努力・勝利といった硬派の熱血少年漫画は飽きられており、『Dr.スランプ』で少年誌では前代未聞の女の子が主人公のギャグ漫画を描き、『ドラゴンボール』ではライバルと切磋琢磨して強くなっていくバトル漫画という新境地を二人三脚で開拓した。鳥山明という天才の死を悼む声が世界各地からあがっている。

〈レーダーより〉