単独的セパレータの破損要因
(1)曲げのかかる取付不良
(クリックすると画像が拡大します)
図1・図2のようにまげて取付を行うと曲げモーメントが働き、セパレータは極端に弱くなります。又、取付時残留曲げの損傷も起こりかねません。左右、上下の角度が出ないよう水平、垂直にご使用ください。
角度がつくと、曲げ荷重(F2)が作用します。角度(θ)が大きくなればなる程、曲げ荷重は大きくなります。 |
(2)不完全な組付け及び過剰な締付け
図5のように不完全な組付けを行うと型枠内の側圧により、セパレータのスジ山が破断したり、締付金物のクサビ等が外れ型枠破損の要因に成ります。 | |
図6のような過剰な締付けを行うとセパレータ自体が伸びきって残留引張応力が発生し、本来の引張り強度が低下します。 |
(3)施工時のハシゴ替わりによる残留曲げ
図7のように取付けた本体に乗って作業するとセパレータに残留曲げ応力が歯発生します。また曲がり(θ)によって損傷したりして打設による側圧に耐え切れず型枠が破損する恐れがあります。 このような作業は絶対しない様、ご注意下さい。 |
複合的事故発生の要因
(イ) | コンクリートを型枠内に打設すると図8のように一番下側に最大側圧が発生し、コンクリートが天端に近づき完了すると時間の経過とともに図9のような、S.Lから少し上側に最大側圧は移動します。 そこで、セパレータの割り付け組立にはS.Lから3~4段目(一番側圧がかかる所)までピッチを細かくし、側圧に耐えられる様、繊細な組立配慮が肝要であります。 |
---|---|
(ロ) | 壁厚の寸法が小さく、S.Lから天端までの高さH(図8)が高くなればなる程、また打設コンクリートの速度が早ければ早い程、液体圧に近くなり、側圧は以上に大きく成ります。そしてスランプ、硬化進展度、外気温等複雑な要素に影響されるので、打設に当たっては十分な注意が必要と成ります。
※高さが高い場合には2~3回に分けて打設する配慮も必要です。 |
(ハ) | スランプの小さいコンクリートでは打設後の表面をきれいに仕上げるため、型枠内に振動機(バイブレーター)を使用する場合があります。 バイブレーターを使用するとコンクリートが液状になり、流動化し液体圧に近づくまで圧力が増大します。又このバイブレーターがセパレーターに接触し、締付金物が緩んだり、クサビが外れたりして型枠破損の要因となる場合があります。バイブレーターをセパレータに当てるようなことのない様充分な注意が必要です。 |
セパレータの鋼材と強度
セパレータの鋼材は一定品質のほぼ統一化された、JISで言うSWRM17程度(C:17~22%)の素材が使用されています。W5/16では線径9Φより6.9Φまで冷間引抜き(Reroll)しますので線材表面が加工硬化を起こし、一般鋼材に較べ引張り強度が非常に高く、しかも野火の少ない材料になっています。(図11)
又製品加工に際しては、切削加工ではなく転造加工されているため、断面積をそこなうことなく、転造加工硬化も加わってより強い製品化が計られています。
引張強度試験表
W5/16 | テストNo. | 破断荷重(kg) | 破断箇所 | 許容強度(kg) |
---|---|---|---|---|
1 | 2,615 | ねじ部 | 1,750 | |
2 | 2,730 | 谷みぞ | ||
3 | 2,887 | ねじ部 | ||
平均 | 2,744 |
W3/8 | テストNo. | 破断荷重(kg) | 破断箇所 | 許容強度(kg) |
---|---|---|---|---|
1 | 3,490 | ねじ部 | 2,200 | |
2 | 3,702 | 谷みぞ | ||
3 | 3,980 | ねじ部 | ||
平均 | 3,724 |
W1/2 | テストNo. | 破断荷重(kg) | 破断箇所 | 許容強度(kg) |
---|---|---|---|---|
1 | 5,190 | ねじ部 | 2,900 | |
2 | 5,140 | ねじ部 | ||
3 | 4,900 | ねじ部 | ||
平均 | 5,076 |
セパレータの許容強度
図11のように降伏点と破断強度がほとんど一致しているので理想的設計許容強度は破断強度の60~70%の値内でご使用下さい。