丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2002年5月号 -第142号-

ソニーの精神

「e-work」。IT時代に特徴的な勤務のスタイルの一つで、最近、急激に普及している。自宅と会社の間でパソコンによって情報が瞬時に送受信できれば仕事をする場所は自宅でも構わないという考え方が根底にあり、商品企画、デザイン、設計、生産管理、販売管理、在庫管理などの職種で導入されている。

大きな組織の中で大勢の人に囲まれて仕事をしていた頃は、個人能率が少々悪かろうと、仕事に個性を出すことを怠ろうと、あまり問題にならなかった。それは、みこし担ぎに似ていた。大勢で担いでいれば、一人や二人が怠けても目立たなかったし、大した影響もなかった。

しかし、業務形態が革新される中では、そうないかない。一人ひとりが明確な個性を持っていなければならないし、それが組織そのものの変容も促していく。

当然、組織の中での主従関係は薄れ、個の集合体が組織であるということになる。組織はある目的を持って動いているから、その目的のあるパートを個人が受け持つ。だが、誰がやってもそのパートの仕事の成果が同じであれば、個性は出しえない。与えられた仕事に、いかに自分の考えを注入できるかがキーポイントになる。

元ソニー取締役で「ウォークマン」開発の指揮を採った工業デザイナーの黒木靖夫氏は指摘する。「個人が組織と対等な情報を発進できる時代になった。論文であれ意見であれ、個人が平等に発信できるようになると、組織の中に埋没していた個人が浮かび上がってこられる。発信のコンテンツが人とは違う個性を持つほど、受信される可能性が高くなる。しかも、国家や民族や企業を超えて、直接個人のインテリジェンスが発信される。社会のIT化が進めば進むほど、個性が大事な時代になる。」

ソニーではかつて、一人の部長が「この会社の考え方と自分の考え方は違う」と言って辞めようとした時、創業者の盛田昭夫氏はこう言い放ったという。「君と私が全く同じ意見だったら、どっちか一人いればいい。私にとって君が必要なのは、私と違う意見だからだ」。

独自の考えを持たない人は必要度が低いという、国際感覚の経営で知られた盛田氏ならではの説得術だ。その精神が、創業時からソニーを育んでいる。だからこそ、ずっと勝ち組みでいられるのだろう。