丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2017年3月号 -第317号-

減速懸念高まる中国経済の今後の展開

昨年10月、中国の税関総署は9月の輸出入を発表した。それによると、輸出はドルベースで前年対比10%減、輸入は同1.9%減だった。輸出入とも大方の予想を下回り、中国経済の減速懸念が高まった。主要な輸出品目である衣服類、パソコン、集積回路がいずれも対前年同月より10%以上減少した。特に9月の生産者物価指数は56ヶ月ぶりのプラスだった。これを受けて、中国の需要が回復し、企業の生産調整も進んでいると見受けられる。中国経済を支えているのは、規制緩和による住宅価格の高騰、減税やインフラ開発などの財政出動などだ。ただ、住宅市場はバブルの状況であり、これがいつまでも続くとは考えにくい。今後も、中国の経済が不安定に推移する可能性は高く、世界経済の先行き不透明感を高めるリスク要因と考えられる。

 中国経済は2008年まで輸出が経済成長をけん引きしてきた。中国が安価な労働力を競争力に“世界の工場”としての地位を固め、電機や機械、繊維、鉄鋼製品などの輸出が成長を支えた。リーマン・ショックによる金融危機の発生を受けて、世界の経済活動が大きく落ち込む中、中国は日本円で約60兆円の景気刺激策を打ち出し、インフラ開発などの投資を軸に景気対策をしてきた。その結果、中国の需要期待を受けて原油や鉄鉱石などの価格は大きく上昇し、世界的に“資源バブル”が発生した。2010年中国の実質GDP成長率は11%を超えるまでに回復した。しかし、景気刺激策の効果が一巡すると需要は伸び悩み、2011年後半にはGDP成長率が10%を下回った。徐々に中国の需要は低迷し、2014年以降、資源バブルは崩壊に向かった。

 バブルが崩壊すると、過剰な設備、ヒト、債務のリストラというバブルの後始末が必要になる。本来であれば、中国政府は国営、民営にかかわらずゾンビ企業のリストラや構造改革を進め、需給バランスの調整を進めるべきだ。採算の悪化した企業を強制的にデフォルトさせ、経営破たんに追い込むことで供給の解消を狙っているのかもしれない。重要なポイントは、債務残高が積み上がっていることだ。2016年3月末時点で、中国の民間債務はGDPに対して210%近くに達した。成長が鈍化しているにもかかわらず、債務の膨張は続いており、不良債権の増加が懸念される。今後もデフォルトが続くと金融機関の経営や投資家心理が悪化し、信用収縮や資本流出が進む恐れがある。そうなると、中国の潜在成長率の上昇は期待しづらい。その中で、失業が増えると、社会情勢が不安定化する恐れもある。それを糊塗しているだけでは問題の解決にはならない。中国リスクは高まっていると見るべきだろう。         (-真壁昭夫- 視点より)