丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2022年7月号 -第382号-

睡眠の質

 「宅配商品 Yakult(ヤクルト)1000」「店頭商品 Y1000」が買えない。入荷してもすぐに売り切れるらしく、この2週間ほどスーパー、コンビニに行くたびに商品を確認しているが、まだ一度も手にできていない。

 ヤクルト1000は、生きて腸まで到達する「乳酸菌シロタ株」を1000億個含むという“ヤクルト史上最高菌数・最高密度”の乳酸菌飲用。その商品紹介は2つのコピーに集約されている。「ストレス緩和」「睡眠の質向上」。継続飲用により、ストレスをやわらげる機能と睡眠の質を高める機能が報告されたという。これが宣伝文句のみならず、ネット上の口コミで「効果がある」と広がっていく。さらに複数の著名人がSNSで「眠れるようになった」と書き込み、一部で話題になっていたところ、テレビ放送番組でマツコ・デラックスが「ヤクルト1000、あれ飲んでから、すごい眠りがよくなった」と絶賛。その翌日から全国的に品切れ状態となった。

 「不眠症」とまではいかなくとも、浅い眠り、中途覚醒など睡眠の質について悩む人がいかに多いかという話でもある。かくいう自分もスマホのブルーライトの浴び過ぎか、加齢によるものか、なかなか寝付けなかったり、午前2時に中途覚醒したり、午前4時に目覚めて眠れなくなったり、若い頃と比べるとずいぶん睡眠の質が落ちたと実感している。とはいえ、病院に行き睡眠薬を処方してもらうまでもないと思っているから、これが健康飲料ヤクルトで改善されるというのならば、是非試してみたい。

 マーケティングの観点からいえば、従来のイメージとは異なる特性を商品の全面に打ち出してきたのは面白い。ヤクルトといえば「乳酸菌飲料」である。乳酸菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとる役割を果たすのは広く知られるところであるが、ヤクルト1000のアピールポイントはここではなく、上述の通り「ストレス緩和」「睡眠の質向上」を2大コピーとした。無論、ヤクルト史上最高菌数を誇るのだから乳酸菌効果も高いはずだ。それを副次的効果としたことで、主の2大コピーが際立つ。これはダウンジャケットでいえば、“当社史上最高の保温効果”を実現したのに“当社史上最高の軽量化成功”とアピールするようなものか。

 睡眠効果でヤクルトが売れるとは、皮肉な現代社会である。 

<レーダーより>