郵便料金値上げ
日本郵便は、10月1日から郵便料金の一斉値上げを行う。定形郵便物の封書は、重さ25㌘以下の料金が現行の84円から110円になり、26円(約3割)もの大幅な値上げである。またレターパックライト(青色)は370円から430円に、レターパックプラス(赤色)は520円から600円に値上げする。レターパックは、追跡可能で速達並みに早く、ポスト投函もできて非常に便利な郵送手段だ。値上げ前の駆け込みでまとめ買いも考えたが、残念ながら改定後は差額分の切手を貼らないとダメらしい。
郵便料金の値上げは、消費税率の引き上げを除き1994年以来30年ぶりのこと。郵便の利用数減少に加え、物流コストの上昇で営業費用の増加が見込まれるためだ。総務省によると、郵便事業は2022年度に民営化後初の赤字となり、23年度も896億円の赤字だった。安価で全国に届くことが郵便のメリットであったが、電子メールやSNSの普及によるデジタル化で郵便利用数の減少に歯止めがかからない。2001年度の262億通をピークに、22年度には144億通と45%減少している。今後も赤字が続く見通しだ。
BtoBプラットフォームを運営するインフォマートが5月末、請求書やDMなどの郵送業務に関わる会社員481名を対象に実施した調査によると、郵送処理にかかる年間人件費を試算すると約227万円になることがわかった。
1か月あたりの郵送書類の枚数を調べると、平均郵送枚数は約1260枚となり、郵送書類一通あたりにかける時間の平均値は約7分。これをもとに年間の人件費を試算すると、「月間1260枚(通)×平均処理時間7分×平均時給1285円×12か月=227万円」となり、意外と大きな人件費コストだといえる(平均時給は厚労省「令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」から)。
この調査結果に出てきた平均郵送枚数約1260枚をもとに郵便料金を計算すると、現行の25㌘以下の84円で10万5840円、新料金の110円で13万8600円となり、1か月で3万2760円のコストアップとなる。郵便料金など微々たるものと侮るなかれ。塵も積もれば何とやらだ。
今後も電子請求書サービスなどの導入が進むことで紙の請求書離れは必至だ。否が応でも、紙ベースの郵送業務をデジタルに置き換え、人件費や切手・印紙代、印刷代などコスト削減に取り組まざるを得ないだろう。
<レーダーより>