丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2016年6月号 -第308号-

先見の明

京都・伏見区。交差点を、大勢の外国人観光客が渡って行く。これが嵐山の渡月橋近くならともかく、かつて大日本帝国陸軍第16師団へ軍需物資や兵隊を運んだ「師団街道」付近だから、地元の人々も最初は「なぜ?」と首を傾げたらしい。

 彼ら外国人観光客が押し寄せているのは「伏見稲荷大社」。京都人が親しみを込め「お稲荷さん」と呼ぶ、全国約3万社を数える稲荷神社の総本山が、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による2015年度「外国人に人気の観光スポット」調査で1位に選ばれた。2位・広島平和記念資料館、3位・厳島神社、4位・東大寺や、京都市内では5位・禅林寺永観堂、11位・金閣寺、24位・三十三間堂等を差し置いて。

 伏見稲荷がそれほど外国人を惹き付ける理由は、稲荷大社から奥の「眼力社」へ通じる参道に立ち並ぶ、無数の真っ赤な鳥居の、神秘的で日本的で幻想的な光景にある。

 「無数」と書いたが、通称「千本鳥居」と呼ばれる。ただし、途中で2列に分かれて立つ鳥居の数は、「実際数えたら900本以下だった」とか、「稲荷山全体では約5000本」「いや1万本近い」など諸説がある。いずれにせよ古くなった鳥居は撤去され、新たに立てられるなど変動があるため、正確な数は把握されていないらしい。

 ちなみに希望者が多い「鳥居の奉納は」現在「5年先まで予約満杯」(同稲荷管理課)。また鳥居の大きさによって17万5000円~130万2000円とHP上に6段階で載るその奉納初穂料も、「現在価格なので、将来変わる可能性がある」そうだ。

ともあれ「眼力社」のご利益は本来「眼病の平癒」だが、「眼力」は「先見の明」に通じるというので、株式関係者や企業・商店の経営者、さらに受験生やその親御さんなど、それぞれの目的でお参りに訪れる人が絶えない。

なるほど、将来を見通す「眼力」=「先見の明」は経営者にとって極めて大切な素養。それを「創造力」と言い換えれば、そのスキルを高めるには「何より経験を積み重ねることが大事」と脳科学者・茂木健一郎氏は著書「天才論 ダ・ヴィンチに学ぶ『総合力』の秘訣」に説く。「創造性は過去の経験の蓄積から生まれる。過去の経験を種にしていない創造はない。過去の経験によって得られた情報量が多ければ多いほど、創造性を発揮する潜在能力が高まる。つまり、創造性=経験×意欲なのだ」(抜粋・要約)