丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2010年3月号 -第236号-

予想を上回る中国の個人消費拡大

足元の世界経済を見ると、米国や欧州の景気回復が遅れる一方、中国の個人消費の拡大が目立っている。当初、輸出依存度が高い中国の経済は上昇傾向が鈍化すると予想されていた。ところが政府の積極的な景気刺激策の効果もあり、個人消費、特に内陸部の消費動向が予想以上の拡大傾向を示している。

そうした状況を見ると、中国が米国に代わって世界経済を牽引している構図が浮かび上がってくる。ただ、不動産市場の過熱感や上海万博後の景気の動向などに不透明感が残ることなど、リスク要因を頭に入れておく必要がある。

現在の中国経済を見ると、政策当局が目指した輸出主導から消費などの内需主導へのモデルチェンジが上手く進んでいるように見える。その背景には、農村部での家電購入に対する補助金支給などの経済政策がある。そうした政策をきっかけにして、従来、消費動向が弱かった内陸部の動きが活発になっている。

現在の中国は、60年代以降に急成長を遂げたわが国を思い出すとわかりやすい。ほぼ毎年、所得が2ケタ増加するため、多くの国民の購買意欲は高まっており、13億人の人口が耐久消費財などの購入に動き出している。そこには、わが国企業にとって大きなビジネスチャンスがあるはずだ。

一方、中国経済のリスクも忘れてはならない。最も大きなリスク要因は、政策当局の金融引き締めだ。
中国では不動産市場などにバブルが発生しているとの指摘があり、金融当局が引き締め政策に転換を図っている。ここ2ヶ月連続で預金準備率を引き上げており、市中銀行に対して貸し出しの抑制を要請している。景気の過熱にブレーキをかけようとしているのだが、その効果が効きすぎて、景気に過度なブレーキを掛けてしまうことも懸念される。また、上海万博が終了する10月以降、高水準のインフラ投資が落ち込む可能性も、リスクファクターの一つとしてみておくべきだ。

インフラ投資が減少すると、景気の勢いが減速することが考えられる。そうなると個人消費の伸びにも制約がかかるはずだ。それらのリスクは中国に限らずインドやブラジルなどの主要な新興国が抱える問題だ。
欧米諸国の景気回復に大きな期待ができない現状、新興国のリスク要因には十分な注意が必要だ。

真壁昭夫氏(経済評論家)より